2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

深呼吸する言葉・この夏、栄える

庶民の元気を吸い取る種族、政界バンパイア。 耳は付いているようで、ついていないのが特徴です。

深呼吸する言葉・夏の「プーン」

「プーン」という音が耳の中に飛び込めば、鼓膜が苛立つ蚊の鳴く声。 「プーン」という音が鼻の中に飛び込めば、台所から漂う香ばしい麦茶。

深呼吸する言葉・笑顔という栄養

人の和が「くつろげる場所」になって行く幸せ。 ぶどうの房のように、くっ付いて集まる命のにぎやかさ。

深呼吸する言葉・はずれた!?

キャンディーの当たり棒みたいに、 わたしの内側にあるかどうか分からない「本物」の心棒。

深呼吸する言葉・氷メロンの少年、氷イチゴの少女

夏に染まった記憶は、ぎゅっ、と濃くて、かき氷のシロップそのもの。

深呼吸する言葉・200日サイクル

カラダの細胞が全部入れ替わって別モノになろうと、 こころは古くも新しくもならない私のまま。

深呼吸する言葉・レレレのおばさん

ほうきで心の中を掃く。 せっせと掃く。ひたすら掃く。 伝播された汚れを薄くして行く。

深呼吸する言葉・厚顔な豆腐

「政治屋」という名の豆腐屋。 油揚げが看板メニューの頃は人気だったが、 厚揚げに変わってからというもの味気なく膨らみ、 消費期限切れのように不味くなった。

深呼吸する言葉・一滴の記憶、一発芸

生まれたての雲が、 柔らかいカラダを駆使して、 オーロラの真似をして見せた。

深呼吸する言葉・記憶の図鑑を片手に

いつか。しっかり手をつないで帰ろう、過して来た日々たちと。 何一つ置き去りなどせずに持ち帰ろう、いさら波に沈んだ記憶の破片さえ。 そして、たった一度だけ振り返って、なごり惜しい世界にウィンクする。

深呼吸する言葉・支えられない重さ

大空で目をつぶったまま、老朽化した親の落下傘にもぐり込んで墜ちて行く子ども。

深呼吸する言葉・団扇と枕と子供

風鈴が眠り呆ける真夏夜に、団扇であおぎっこする子供たち。 手も口もだるくなって、まだらな風が届くうちに寝たもん勝ち。

深呼吸する言葉・一晩だけの避暑地

赤と緑に挟まれた白い層になって、 地球のような赤を抱きしめ、 緑のカーブに身体を横たえ、 「月と緑の海」を夢見ながら、 冷蔵庫の野菜室でぐっすり眠る。

深呼吸する言葉・無心に咲く

ふと、食いしばる硬い頬に優しい風が伝う。 一瞬、無心が時間を止め、風と心を滑るワルツをした。

深呼吸する言葉・マウンドに立っている様な

「頑張っているね」 誰からも何も言われずとも、 蝉はあんなにも喝采してくれている。 お盆の風が背中を強く押してくれている。

深呼吸する言葉・夏の雪女

夏の湧き立つ雲にまぎれて、 ザーッと、凍てつく結晶を吹雪かせる雪女。 地球低温化に加勢する。

深呼吸する言葉・地上は酸欠頭脳

ばく、ばく、金魚になって、 空のいちばん上のへりから顔を出し、 天国の空気をのぞき見する。

深呼吸する言葉・湖も海も

人が触れただけで、火傷する魚もいる。 このまま海水温が上昇したら、海まで死海と呼ばれる。

深呼吸する言葉・アンチ前頭葉未発達

「我がまま」のワクチン。 さりげなく我慢の袖を通せるように、 幼い頃、親が見計らって打つ注射。

深呼吸する言葉・地上温度4000度

あの夏、0815と1102。 その時刻が保管されているドアを開けると、 巨大な放射能の溶鉱炉に落ちてしまう。

深呼吸する言葉・愛の習性

暗がりを歩く心。 提灯を差し出したり、差し出されたり。 放ってはおけない、愛の粒のような。 捨ててはいけない、記憶のような。

深呼吸する言葉・ミラクル・プラネット

太陽の命を一途に食べたから、植物になった。 植物の命を一途に食べたから、膨らんだ象。

深呼吸する言葉・造られた地獄

六十五年もかかったんだね。 あの、巨大なキノコ雲の下を 世界が知ろうとするのに。

深呼吸する言葉・集中豪雨/横浜駅の場合

両岸に並んだ改札口の堤防は決壊寸前だ。 人が押し寄せ、吐き出され、激流と化す太い一本の通路。 そして、360度覆われたアメーバの一員になって 「どいて、どいて」の触角を伸ばし、遮るものを振り切って河を渡る。

深呼吸する言葉・熱風ウェイブ

この夏。人間も植物も、熱射のサウナに入りっ放し。 たぎる大気の対流でさえ、葉っぱは上機嫌で鼻歌まじり。 やっぱり、植物は地球で最強の先住者だ。

深呼吸する言葉・脆い愛

柔らかいクルミを抱きしめる最強の殻は、赤ちゃんとママだけの宇宙。 けれど、脆いパパの木に放り投げられて、「胡桃の宇宙」は憎しみでビッグバンを起こした。

深呼吸する言葉・薬の王国

日本には、高齢者の天命をぼやかせる、薬の砂丘があると言う。

深呼吸する言葉・脳天気な国

「捨てる」という言葉が日本列島で充満して、巨大爆発を起こした。 被災した後遺症で、「大切」という言葉の意味が分からない。