2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

深呼吸する言葉・触れて始まるストーリー

温もりは、ただ浮遊しているだけ。 それを集められたら、誰かに物語を灯せるのでしょう。

深呼吸する言葉・条件反射

いきなり戦争映画の予告。 どうしたらいい、感情を決壊する涙。 もういい。もういい。人が殺される場面は。

深呼吸する言葉・白菜漬け

新聞紙、白菜、日干し、樽、塩、唐辛子、石。 ちち、はは。冬の間だけ漬物屋のようだった。

深呼吸する言葉・感情のシンフォニー

大好きという気持ちに向かって、五感がわたしの中で反響する。

深呼吸する言葉・十円玉握りしめて

家族の耳レーダーを避けたくて、 向かった先は、青春の電話ボックス。 時に、携帯電話が厚かましく映る21世紀の恋。

深呼吸する言葉・シルバー同士

九十歳を過ぎても人を嘲笑えるとは。 子供も老女も残酷さに変わりなし。

深呼吸する言葉・忘れかけの白

削りたての純白な心にもう一度なれと雪が誘う。

深呼吸する言葉・ありがとう

見守ってくれたからこそ。 この世界の一点、針穴に通せた私の糸。

深呼吸する言葉・認知症のしずく

もう、八十五歳。 忘れるだけならいい。 やがて来る、ルール全解除の時。 人さらいに遭った頭脳と闘う自我。

深呼吸する言葉・あっはっは!

愛着はあっても執着はなく、 あっけらかんと生きる後期楽天家。 そうなったわけこそ人生。

深呼吸する言葉・ぬくもり

重い暖簾さえ開く、湯気の立つところ。

深呼吸する言葉・分かれ目

やってらんないなぁ。 頭のなかの溜め息は、毒がまわる。 からだを動かして、毒を抜く。

深呼吸する言葉・一体化した惑星

海原でチラチラ泳ぐ魚は地球の微笑み。 草原を駈けまわる動物は地球の背筋力。 なれるものならば私たちは地球の眼力。

深呼吸する言葉・涙ひくまで

ヤドカリが残して行った巻貝。 空っぽの螺旋のなかをぐるぐる廻る感情。

深呼吸する言葉・どんど焼きの恋

愚痴をくべられ百年の恋を焚き終える。

深呼吸する言葉・豆まき

ひとは外。わたしは内。 ひとが内へ「はいじゃっく」してきたら、 じぶんが薄まる。

深呼吸する言葉・節分

ひとはひと。わたしはわたし。 豆撒きしなくても、福は心に滞在している。

深呼吸する言葉・それこそ暗黒宇宙

無二、くつろげる場所が人の死によって消失してしまう日。 陽だまりの太陽をもぎ取られ、地球が違う惑星になって行く。

深呼吸する言葉・そんなもの

ばかばかしいけど、大笑い。 ばかばかしくて、微塵も笑えない。 そこを行ったり来たりする気分屋の品性。

深呼吸する言葉・笑いの品格

下品で人格を突き飛ばす、終わりの笑い。 下品が下品を吹き飛ばす、純粋な笑い。

深呼吸する言葉・我忘れて、不死鳥

どん底だって、たくましい感情が孵化して大笑い。

深呼吸する言葉・蘇える風景

心に群生していた記憶が一つ歩き出す。 飾らないあなたの言葉に寄って行く思考。

深呼吸する言葉・一個人

生きているのに、生きるのに未だ慣れない人見知り。

深呼吸する言葉・生きる一本の荒節

大切な者のためなら限りある命も削り節。

深呼吸する言葉・愛はファンタジー

ただの人でも幻想をくっつけたら、ペ・ヨンジュン。 ただの人から幻想を抜いたら、極悪人だったり。

深呼吸する言葉・要らない古着

やわな愛は、心が着ていた服だけ置いて姿を消す。

深呼吸する言葉・幸せなパティシエ

愛情を混ぜて暮らしをふんわりホイップしてる。

深呼吸する言葉・頭のなかは言葉のダービー

翌日に待ったをかけて滑り込み、 今日の証を詰め込むような深呼吸の言葉。

深呼吸する言葉・明るい朝

小さな子どもの中に地球の笑い声が聞こえた。