2012-01-01から1年間の記事一覧
果実と見せかけて、じつは茎の変形。 へばりついた極小の粒々こそ、果実そのもの。 偽果を装った、赤い苺みたいな愛もあるね。
心に浮かんだ言葉を握って皿に並べる。 どんな味になったのか手を伸ばせぬうちに、 時間の高速コンベアーに連れ去られ、 ぐるぐると乾涸びて行く。
命も さえずるを知る 早回し映像の人々。
まどろむ地球の、夢の中のような私達。 あくびをしないで、目覚めないで!!
鬼も福も、外も内も、混ぜこぜ世界。 目から豆撒きのように、ばらばら涙。
わたしの安堵感は、過去の記憶のなかで暮らしている。
言葉をリュックに詰めて山登りする。 解放、快活、静謐の風が胸に当たる。 そうして、地球の触角になって行く。
この上澄みの思考の油に、現実の長雨。 砕ける。砕ける。衰弱する。 飛び散った油玉は揺れながら、 あきらめきれず、また私にくっ付いて行く。
薄情な心に着氷すると、割れ落ちて大怪我をする。
言葉はもう霞。空にのばす指をたどれば、 此の眼は、おばあちゃんの心にとまる鴬。
むかし、出口でつっかえて、引き返した大粒の涙。 気がつけば、誰彼無しに貰い泣き、翼をつけた涙。
心がわくわく缶を食べたなら、放射熱で溶けだす雪だるま。
わたしは百円ライターです。 家族が手放した老人の夜を 奇想天外を展開する瞳の奥を カチカチ、カチカチ、ただ灯すのです。 オイルが切れて、心が倒れる人もいます。
ぶあつい百科事典のような想い出。 ページのところどころに挟まった栞。 それは、私を作るヒントになった愛そのもの。
澄んだ眼。澄んだ耳。澄んだ言葉。 まっさら、まっさら。 こころに新しい雨が降って来る。