2010-01-01から1年間の記事一覧

深呼吸する言葉・何処をとっても愛

背中で感じる親の愛。 胸を向けて想う恋人への愛。 腕に挟めて知る子供への愛。 両手ですくう残り少ない愛。 身体の何処をとっても繋がっている愛。

深呼吸する言葉・かも知れない

「今、死ねない」と強く思った時、 天命がリセットされるのかも知れない。 「ここまでの命」を塗り替えるオマケの余命は、 命の感受性が左右するのかも知れない。

深呼吸する言葉・鳥のように、魚のように

太陽がつくる芸術を、上空から目撃する鳥たち。 地球がたたえる海を、どこまでも寄り添う魚たち。 私たちは、それを、心で抱きしめることしか出来ない。

深呼吸する言葉・唐辛子の種子

真っ赤な唐辛子の中から粒々がこぼれて、辛さを主張し始めた。 でも、その味が生きるのは、ほかの畑の白菜や世界の食物があってこそ。

深呼吸する言葉・私が私でよかった日

ある日、降ってきた言葉のパワーストーン。 「あなたにめぐり会えてよかった。」 その一粒の想いがすぐに消えたとしても、そっと寄り添う。 高齢者と私の間にある認知症という不思議なもの。

深呼吸する言葉・眩しい三時の帰港

空と海に挟まれた釣り船屋つらつら輝く。 天然の風景のサンドイッチを私は食む。 沖から、緑の船がレタスになって走って来た。

深呼吸する言葉・記憶のサザエ、記憶の卵

そこの角を曲がったら生き止まりの高齢者だって、 時に、認知症の海に潜るタフな海女さんになれるんだよ。 死が溢れ始める年齢の河でも、 時に、記憶の故郷をさかのぼる瑞々しい鮭になれるんだよ。

深呼吸する言葉・嵐の灯台、昼間の灯台

「体操着が見つからないの、どこ?」 突然、85歳の高齢者が小学生になった。 瞳の奥で、灯台が遠くに沈む記憶の海を照らしている。 目を閉じれば、明かりは消え、現実をかたどる身体だけが残る。

深呼吸する言葉・21世紀のシンデレラ

午前零時。 駆け降りる気持ちの階段に名残りの靴を落したとて、 急かし急かされる終電車。

深呼吸する言葉・山々にっぽん

夏山、秋山、冬山、春山。丸山、角山、大山。青山、香山。 北山、西山。横山、遠山。神山、富山、福山。竹山、栗山。 まだまだ在る、人の中にそびえる山。 こんなに山が豊富な名前の民族はいるのかしら。

深呼吸する言葉・病のゆくえ

ひっぱれ、ひっぱれ、ぐるぐるまわせ!! 引き潮が、しぼみかけた命を探して、手をつなぎます。 台風が、命を丸裸にして、暴風雨の洗濯機にスイッチを入れます。 救命を阻む、容赦なき自然の摂理です。

深呼吸することば・ムジュン

空に見惚れる。人に見惚れる。 心奪われるのに、生き返る。 不思議な矛盾。

深呼吸する言葉・シルエット

あの人も、この人も、シルエットを帯びている。 でも、それは光が当たったからじゃない。 当たるのは、私たちの眼差しから発する心のフレア。

深呼吸する言葉・トリプルパンチ

思考が渋滞に巻き込まれると、 わたしは、わたしを見過ごす。 大事なことから迂回する。 そして、人身事故に遭う。

深呼吸する言葉・カーブ

人間は美しい曲線の集合体だ。 体や、心や、人生。何もかも弧を描く。 永遠の直線を描くのは、こと切れた心電図の波形のみ。

深呼吸する言葉・ハートに出会った日

初めて目にしたハートは、鉄腕アトムの胸に埋まっていた。 鮮烈。そのカタチは、幼い私に命のありかを語りかけて来た。

深呼吸する言葉・触れた先

冷たいハートは瞬間、シジミのなか。 温かいハートは瞬間、味噌汁の湯気。

深呼吸する言葉・解き放つ日

思い出の檻のなかに監禁された潜在意識。 カギを外しに行く、新しい私の潜在意識。

深呼吸する言葉・残るものはハートだけ

歳を取ると、どんどん物を脱ぎ捨てて、濁ったハートも透けて見える透明人間。

深呼吸する言葉・見猿聞か猿言わ猿

朝露や、夜霧や、涙雨に濡れることを忘れていく地球人。 このまま、必要なことに触れない三猿に退化して行くのだろうか。

深呼吸する言葉・自己ちゅう爆弾

電車の座席にドカン!と座られて揺れる両隣の人。 車内通路扉をドカン!と閉められ、びっくりする乗客。 野放図で、騒々しい、自己ちゅう爆弾が今日も炸裂する。

深呼吸する言葉・辛口の意思

調子づいて大事なことからはぐれる「一所懸命」なら、もう要らない。

深呼吸する言葉・ここに辿り着くイメージ

想像力は急には育たない。 でも、想像力は不意に開く。

深呼吸する言葉・走る雲と西日

台風一過。成層圏から汚れをすくい取る雲。沈殿した人間の街。

深呼吸する言葉・朱色の風景

夜明けの瞬間、朝陽にレントゲンされた、襖に映るベランダの洗濯物。

深呼吸する言葉・くしゃくしゃ

心の輪郭がくしゃくしゃ。レーズンみたいに甘くなり過ぎた。

深呼吸する言葉・夏の余波

夏がうねって、津波になった雲がそこまで迫ってきた。

深呼吸する言葉・美術部員ですか?

高校生のまっ白いYシャツのポケットに、突然、目が釘づけ!! 切り抜かれたビンセント・バン・ゴッホが、21世紀の昼下がりを眺めている。 「何故そこに入っているの?」彼にマイクを向けたい衝動の快速特急だった。

深呼吸する言葉・降りそそぐ陽も雨も風も

喜怒哀楽の空はいつだって地球を洗っている。 きれいさっぱり洗えないのは、人の心だけだ。

深呼吸する言葉・ギラギラ/秋が思ったこと

夏が威張り、たじろぐ九月。 朝陽の凛々しさに、秋はそれでもいいかと思った。