群れらかに老いた命を灯そうと、この命を燃焼する。 後に残るのは、身体に充満した二酸化炭素と、 気絶するような乳酸の眠りだけ。
必死の、微笑みのブリザードで隠されて行く、心の奥の氷山。
ちんどん、ちんどん、賑やかにしていたって、 大方は、「さびしがり屋」の看板を背負ってる。
車いすが緊急車両になって、 トイレ搬送を要請するお婆ちゃん。 理髪店のサインポールみたいに 夜通し、頭の中で回り続ける「お小水」。
あなたの口にはえたトゲ。 だんだんそうやって、 荒野のサボテンになって行くんだね。あなたの心にはえたトゲ。 認知症をきっかけに、 ハリセンボンになる時もあるんだね。
おんぶされて眺めた光景は、幼児の記憶に録画される。
自分を疑問に思ったら、蟹のように脱皮できたらいいね。 踏みつけられようと、然りげ無く柔らかい心でいられる。
愛は主張なんてしない。 静かに、いつの間にか、 愛の金平糖をひと粒育て上げている。
昼下がり、八百屋の軒先。 果物がささやく極彩色の香り。 遠くの方で蟻の笑い声。 誰も気に留めぬ平和に紛れて行く母親。 取り残されたベビーカーで眠る赤ん坊。
いいものをそっとしてあげられない悪のアメーバー。 それは全てのDNAに隠れている。
深い皺や荒れた皮膚を眺めましょう。 まとったいろんな季節の服も眺めましょう。 私は地球を撫でる鳥の眼になりたいのです。
現在進行形の脅威も、フクシマの涙も、さておき。 そんな原発を輸出できてしまう国は破廉恥だ。
大津波 末の松山 越さずとも 涙浸かりて 愛は錆び行く
地球は人間の文明を食べたあと、静かにお昼寝する。
どの人も、どの人も脆弱だ。 胡桃みたいに強く丸くさせるのは、 愛の詰まった想いだけなのだろう。
煙草吸う父がこしらえた白いドーナッツ。 もみじの手が何枚も空を追いかける秋かな。
ゆとりに呑み込まれて楽しか出来ない身体もある。
10万年、地底で蝉になる。 放射能が消えれば、夏への扉。 世界中、喜びで泣き止まないのだろう。
もう、地球には隠していい場所なんてない。 ひとつ空の下、手狭になってしまった世界。
塩むすびを頬張っていた旅人。 戦後のちゃわん、白米が大好きだった母。 むかしから続く、ありがたみ。 人の手で齎された幸せ知る秋かな。
穏やかで静かな暮らしが 手錠をかけられ 牢屋に放り込まれた。
自然に映える岩は削られて美しい。 そんな風に出来た笑い皺はいっそう美しい。
ワガママの塊に風化した年寄りは、 宇宙に浮遊する巨大な隕石になる。
はっぴバースデイ。 じゅうぇるボーイ、じゅうぇるガール。 今日は、想い出のお風呂に入ります。 湯気になった笑顔がいっぱい。 ぽかぽか、ぽかぽか。 手を繋いで歩いた日が蘇ります。 生まれたて、魂の重みが蘇ります。
地球って、心がたくさん生まれる、巨大な卵だったのね。
エアコンのリモコンを握りしめ、 新聞で毎日を着替えるお爺ちゃん。 拳を振り上げるたび、空がどんどん遠ざかる。 世界が活字のように小さくなって行く。 そして、温度設定に悩まされる。 そして、部屋に溶け込んで行く。
若者だからか、移ろう笑顔。 年寄りだからか、定番の笑顔。
やり切れない気持ちに足止めされる本当の気持ち。
大好き!! まっすぐな心が一億年先にだって瞬く地球。
ちち、ははへ、育つ感謝の粒々。 過去へ頭垂れる稲穂は哀しけり。